— 東大数学科では2年後期からいわゆる専門科目が始まり、3年いっぱいまで、必修科目、選択必修科目が続く。これらはいわゆる「基本」であって、面白いわけではないが、それ以降の「面白い数学」の土台となる。
集合論は数学の空気であり、いたるところに出てきます。位相空間論は、集合に最低限の構造を入れたもので、シンプルかつ深い議論ができます。連続性などの微分積分学の概念も、位相空間論の言葉として抽象的に学んだ方が分かりやすい方も多いと思います。集合論の初歩をやった後に、位相空間論に進むか群論などの代数系に進むかは、趣味の問題なので、必ず位相空間論を先にやる必要はないような気もします。なお、土岡俊介さんの言うように、圏論の基礎はここで学んでおいた方がいいかもしれない。一冊参考書に入れています。
薄くてよい教科書
厚くてよい教科書
圏論を先にやった方がいいか、はじめにやらないほうがいいかは趣味によるとは思うのですが、このレベルの教科書は先に学んでおいてよいでしょう。
複素変数の微分積分学です。東大数学科では通年の必修科目です。(半年ごとに担当教員は変わります。)微分積分学は変数を複素数にすることで完結します。複素変数関数は、当然値も複素数なので、実2次元を実2次元に移す関数になります。そのような関数のうち「微分可能な」関数を正則な(holomorphic)関数といい、そのような関数を扱います。指数関数、対数関数、三角関数が一体であることが分かります。オイラーの公式はとても美しい公式です。どの分野に進むにしても必須です。なお、「微分積分」であげた参考書はすべて複素解析の導入的部分が書かれてあります。
代数的にすっきりしていて好み。多変数複素解析の初歩を含む。
これも、初歩から多変数関数論まで行ける本。
コーシー定理の証明がしつこくて非常に好み。小平3部作の1つ。小平先生は「解析」の人なのだと思う。
我々の代が東大数学科で受けた講義(通年のうちの前半)の講義録です。
多変数複素解析を学びたい方は、同著者の本で学ぶためにこの本で勉強しておくとよい。